少年1

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僕は死に魅せられている。 テレビで目を覆いたくなるような凶悪な事件が流されれば新聞のチェックを怠らない。 関連情報を切り抜くためだ。 インターネットは便利だ。 あらゆる時代の、溶かした鉛を胃袋に詰められる気分になるような人殺しの話が何の規制もされずに公開されている。 そんなに悲劇に想いをはせる時、周囲の雑音は消え失せ地の底に沈んでいく感覚を覚える。 この闇と一体化するような気持ちが僕にとって唯一安らげる瞬間だ。 人が人を殺すという行為は並大抵な気持ちで出来ない。 しかし、世の中にはその一線を何かのきっかけで超えてしまっている人たちが確かに存在する。 僕はそんな人種に興味を抱いてしまう。 被害者でも加害者でもない、ただの第三者として彼らを観賞していたいのだ。 ある日、運が良いのか悪いのか判断できないけれど僕は殺人鬼と遭遇することになった。 なぜ人を殺すのか、素直に理由を聞いてみたいと思った。 しかし、彼の正体に気付いているということがばれると、きっと僕は殺されてしまうだろう。 それでも僕は知りたいと思った。 どうして殺人鬼は人を殺すのか……。
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