あぶらのさかな

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あぶらのさかな

君は。 食用油の中で 優越感に漂う汚いさかな。 ぬるぬるとした優越感に浸って 君がバカにしたこざかなと一緒に ふかいふかいみどりのそこに 沈んでしまうがいい。 あなたは。 食用油の中で 思いやりに漂う黄金のさかな。 ギラギラとした汚いさかなとは違って とても謙虚なやわらかいさかな。 きみよ、きみよ 覚えているか? きみが嫌な油のにおいで きときとになったそのときも 変わりたい気持ちがあったから やわらかな金の油のなかに 身を置くことができたのさ
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