序章

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 そんな警戒体勢のカイルをよそに、前にゆっくりと歩み出て通路に向かい言葉を放つ。 「誰だか知らないが、用があるなら顔くらい見せたらどうだ」  そう言ったものの潜んでいる相手は大体予想が付いている。  ここに来るような者は我らを除いたら、遺跡荒らしの類いかここにある物を知っている『帝国』くらいしかいないだろう。  もし前者程度の者であればここに来るまでに気配で気が付くであろうし、そもそも我らと同じこの遺跡探している時点で情報が入って来てもおかしくないはず。  よってそこに居るのは恐らく後者。行く先々で我らと同じ物を求めこの遺跡と我らのことを聞き回っているとの情報が入っている。  帝国には様々な過去の遺跡に関する文献が残っていると聞いたことがある。そこにこの遺跡にある物が記されていても不思議ではないはずだ。  ――カツン、カツンと靴を鳴らしゆっくりと通路の影から現れた少年。 「これは大変失礼致しました。元遺跡学者のグライス殿とお見受けしますが、間違いないでしょうか。」
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