序章

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「フォストラ帝国、国王ザルド=フォースの第5子息にして第3皇子セイリン=フォースと申します。以後お見知り置きを。」  セイリンと名乗った少年は優雅な動きで右腕を前で横に折り軽く会釈をする。 「さて、自己紹介はこれくらいにして本題に入りましょう。単刀直入に言いますが、その小さな『箱』を渡してもらいましょうか。」  やはりそうか。と眉をひそめるグライスは小さな『箱』を持つ右手に力が入る。 「この『箱』が何なのか知っているのか。これは人の手には余る。だからこそ私が遣わされ、これから人の手の届かぬ所へと安置するのだ。」  グライスの返答を聞いたセイリンは顔を歪め声を荒らげて叫ぶ。 「知っているっ!だからこそっ、こうして貴様がその『箱』を手に入れ安置する前に奪いに来たのだっ!その『箱』を渡せっ!」  その声に反応するようにセイリンの後ろから二つの黒い人影が、放たれた矢のように飛び出しグライスへと向かう。  一人はそのまま飛び出した勢いで上から逆手に持ったナイフを頭目掛けて振り降ろす。
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