序章

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 グライスに殴り飛ばされた黒装束の者は通路の壁に叩きつけられ、ドサッという音と共に床へと力なく崩れ落ち微動だにしなくなった。  もう一人の黒装束の者は空中でカイルの真空波により腕に裂傷を負い地面に横から落ちる。  すぐに負傷した腕を抑えながら起き上がり、奇襲を妨害し傷を負わせたカイルの姿を探す。  しかしカイルは既に相手の後ろに回り込んでおり、自分の事を探し左右に動く首の延髄を短剣の柄で強く殴り付け気絶させた。  自分の連れの者達が負けるのを傍観していたセイリンは落ち着きを取り戻し二人に話し掛ける。 「やはりこの程度の者達では歯がたちませんか。カイル殿の風の『紋様武器』はともかく、そのグライス殿の光の力は一体・・・。例え『教会』の者だとしても『年齢的』にありえないはず。」  グライスは僅かに光の残る左手を前に突き出すように手のひらを広げ、低い声でセイリンの疑問を切り捨てるように言葉を返す。
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