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「人の行く手を阻み!あまつさえ上手くいかなければ奇襲を掛ける!そのような輩に答える道理は無いっ!」
セイリンはグライスの強い否定の言葉を受け、顔をしかめて足元の砂埃が踏み荒らされた地面へと視線を落とす。
そして口元を三日月のように歪ませて肩を振るわせしゃくり上げるように小さく笑い出す。
――ク、ク、クと笑うその顔をさらに歪め、突然顔をあげて目を見開いた。
「全くもってその通り!わざわざ悪者に教える必要はない!悪者で結構、目的の為には手段は選ばん!」
再び豹変したセイリンはおもむろに右手を横に伸ばし大きく力のこもった声で言いを放つ。
「一筋縄ではいかないのは初めから分かっていた。こちらの切り札を出させてもらおう!あいつを連れて来い!」
その声が遺跡に響いた後に通路の陰から黒装束の者が先に二人、そしてさらに後から二人がセイリンよりさらに幼い意識の無い『少年』を引きずりながら現れた。
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