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「終わったって何が…」
「だから世界を移動する手配がですよ。ほら、体が…」
「な、なんだよこれ!手が透けてっ!?」
男が手を離した途端、俺の体が透けだした。
現実とは思えない出来事に、俺はただただ混乱するばかり。
「てめぇ何しやがった!俺を騙したのか!」
「滅相もない。貴方には"あちら"で、存分にその力を奮って頂きたいだけです」
「だからどういう意味なんだよ、それは!」
「直にわかりますよ。では私の友人に会ったらよろしく言っておいてください。ご武運を」
「意味がわか──!」
最後まで言い終わる前に、俺の体は完全に消え、視界は真っ白になった。
意識が遠のく中で、微かに鐘の音だけが聞こえてくる。
鈍く響くその音に
ああ0時になったのか。と、ぼんやり思った。
「…願わくは、貴方の瞳に映る世界が、いつか色を宿しますよう」
「ワオン!」
「…さて、仕事は終わりましたし…寝ますか」
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