白黒

14/14
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
「終わったって何が…」 「だから世界を移動する手配がですよ。ほら、体が…」 「な、なんだよこれ!手が透けてっ!?」 男が手を離した途端、俺の体が透けだした。 現実とは思えない出来事に、俺はただただ混乱するばかり。 「てめぇ何しやがった!俺を騙したのか!」 「滅相もない。貴方には"あちら"で、存分にその力を奮って頂きたいだけです」 「だからどういう意味なんだよ、それは!」 「直にわかりますよ。では私の友人に会ったらよろしく言っておいてください。ご武運を」 「意味がわか──!」 最後まで言い終わる前に、俺の体は完全に消え、視界は真っ白になった。 意識が遠のく中で、微かに鐘の音だけが聞こえてくる。 鈍く響くその音に ああ0時になったのか。と、ぼんやり思った。 「…願わくは、貴方の瞳に映る世界が、いつか色を宿しますよう」 「ワオン!」 「…さて、仕事は終わりましたし…寝ますか」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!