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「以来、人間と獣人に対立関係が生じ、複数回に渡って戦争が起きる事となる。です」
「ふーん…」
なかなか複雑な話だったが、テティが俺にも分かりやすく纏めてくれた。
テティは本を仕舞うと、ベッドに座っている俺の隣にきて言う。
「…戦争と言いましたが、実際は獣人の大量虐殺と言っても過言じゃありません…」
「………」
「私たちは人間が造るヘイキというものに、全く歯が立たないのですから…」
こいつら兎親子を見て、ここはどれだけ愉快な世界なんだと思ったが…
まさかこんな重苦しい事情があったとは。
「あの、さっきはごめんなさい…記憶喪失とも知らずに怒鳴ってしまって」
「……別に」
こいつが謝る必要はないのに、ご丁寧な奴だな。
「私のお父さん、人間に拐われたんです。それで思わずあんなことを…」
「怒ってねーから、もういいって」
人間に何されたとか言われても、俺も人間だからなんて返せばいいかわかんねーだろうが。
「あ、よかった…ありがとうございますっ」
テティは自分が冷たくあしらわれたのに気付いていないのか、嬉しそうに笑っていた。
…接しにくい奴だな、ほんと。
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