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「で、どうですか?」
「…何が」
「記憶ですよ記憶!戻りましたか?」
テティは期待してるような目でこちらを見た。
記憶をなくしてなんかいないから、戻るわけないんだけどな。
とりあえず適当に答えるとするか。
「思い出したような、思い出してないような…」
「そんなんじゃ駄目です!もっと真剣に考えなきゃ、治るもんも治りませんよ!」
「考えてるっつの…」
すると、テティが俺の前に立ち、こちらを真っ直ぐに見つめてきた。
「な、なんだよ」
対応に困るからやめて欲しい。
「耳が垂れてませんね」
「は?」
耳?何のことだ?
「考えてない証拠です。普通はこうやって耳を…」
そう言いながら、俺の耳を顔に押さえつけてきた。
大きな耳は、簡単に俺の両目を覆ってしまう。
「おい…………」
前が見えない。
「ぶっふふ…ぷふふふ…」
目が見えない分、テティの変な笑い声が鮮明に聞こえた。
丸焼きにしてやりたいと思ったのはこれで二回目だな。
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