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「よし、次は2人でお出かけしましょう!」
「1人でいいって言ってるだろ」
失礼な兎にデコピンをお見舞いしたあと、今度は外を見に行こうという話になっていた。
記憶のこともあるが、シルフィアさんのお使いのためでもある。
「だってお店分からないでしょう?」
「なんとかなるだろ」
「買う物も名前しか分からないでしょう?」
「なんとかなるだろ」
「コータさん頭悪いでしょう?」
「なん………てめー馬鹿にしてんのか!?」
女相手に、と思っていたが、これには流石の俺も大声をあげてしまう。
くそ、こんな阿呆そうな奴に何やってんだ俺は。
ここがまだ玄関だからよかったものの…。
「やっと笑ってくれましたね」
「……はぁ?」
一瞬、何を言われたのか本気で分からなかった。
「だってコータさんずっと元気なかったじゃないですか。だから笑って欲しくて」
テティは照れてるのか、俯き加減で言う。
…こいつ、そんなこと気にしてたのか
つーか、笑ってたか俺?
無意識に笑ってたとしたら、相当恥ずかしいというか、ダサい。情けない。
「じゃ、行きましょうかー」
人の気も知らずに呑気に外へ出ていくテティ。
さっきからどうにも調子が狂わされっぱなしだ。
あとでまた仕返ししてやろう。
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