39人が本棚に入れています
本棚に追加
店内は外装ほど乙女チックではなく、意外と落ち着いた雰囲気だ。
至るところに布が置いてあるが、これが商品なのだろうか。
「いらっしゃいませ」
間もなく、奥から狐の女性が現れる。
年はシルフィアさんと同じくらいといったところか。
「こんにちは、サミーさん。今日は注文していた物を取りにきました」
「ええ、出来てるわよ。確かここに…」
サミーと呼ばれた狐は、足元の引き出しから数枚の布を取り出した。
「この4枚でいいかしら?」
「はい、大丈夫です」
テティは布を確認して、小さな袋から通貨らしきものを支払う。
小さなコインを置いてるようだが、それがどれくらいの金額なのかは分からない。
千円くらいか?
等と見当をつけていると、サミーさんと目があった。
「君、見ない顔ね。旅人さんかしら?」
「いや…」
「迷子になってたのを、私が助けたんです!ね、コータさん?」
…ちょっと何かが引っかかったが、迷子になってたのは確かなので目を瞑るとする。
「コータくんって言うの。私はサミー・ランケットよ、よろしくね」
「よろしく…」
握手を交わす俺達を、テティが微笑ましげに眺めていた。
こんな奴等しかいないのか、この世界は。
最初のコメントを投稿しよう!