異世界

17/20
前へ
/70ページ
次へ
サミーさんの店を出て何店か回ってから、テティが何かを思い出したように振り返った。 「そういえば、服買わないとですね」 「…誰の」 「コータさんのに決まってるじゃないですか」 言われてみれば、俺が今着ている学ランは所々汚れたり、破けたりしてしまっている。 「汚いし、なんか変な服です。だから皆に旅人だと思われるんですよ」 「汚いのはお前が引きずったせいだろーが」 「……そうでした」 どこまでも失礼な奴だ。 まあ、この世界に学ランはないだろうから、変な服と言われるのは仕方ないんだが。 「私が身繕ってさしあげますよ」 「え」 テティは拒否する間も与えず、また小さな店に入って行った。 アイツだけに任せるのは、とてつもなく不安だから俺も遅れて入る。 「はい、これどうぞ!」 「って早いなおい!」 扉を開けた瞬間、服を一式押し付けてきやがった。 せっかく選んでくれたので、とりあえずその黒い服を眺めてみる。 「着替えならこちらでどうぞ」 それを見た鳥型の女の人が、俺を個室へ案内した。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加