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サミーさんの店を出て何店か回ってから、テティが何かを思い出したように振り返った。
「そういえば、服買わないとですね」
「…誰の」
「コータさんのに決まってるじゃないですか」
言われてみれば、俺が今着ている学ランは所々汚れたり、破けたりしてしまっている。
「汚いし、なんか変な服です。だから皆に旅人だと思われるんですよ」
「汚いのはお前が引きずったせいだろーが」
「……そうでした」
どこまでも失礼な奴だ。
まあ、この世界に学ランはないだろうから、変な服と言われるのは仕方ないんだが。
「私が身繕ってさしあげますよ」
「え」
テティは拒否する間も与えず、また小さな店に入って行った。
アイツだけに任せるのは、とてつもなく不安だから俺も遅れて入る。
「はい、これどうぞ!」
「って早いなおい!」
扉を開けた瞬間、服を一式押し付けてきやがった。
せっかく選んでくれたので、とりあえずその黒い服を眺めてみる。
「着替えならこちらでどうぞ」
それを見た鳥型の女の人が、俺を個室へ案内した。
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