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「……ま、いいか」
着替え終わった俺は、鏡を見て1人呟く。
テティの選んだ服は、意外と俺の好みに合っていた。
「…………………」
それにしても、これが俺か。
鏡の中の自分が自分じゃないようで、耳や尻尾を弄って確かめてみる。
暫くそうしていると…。
「出来ましたか!?」
テティが遠慮なしに押し入ってきた。
「って…あれ?もしかして、お邪魔でしたか?」
「お、お、おま」
鏡を間近で見つめているところを思いっきり見られた挙げ句、なんか誤解されている。
「こ、これは違うぞ?別に自分に見惚れてたとかじゃなくてだな」
「…あー、大丈夫ですよ。コータさんがナルシストでも私は全然大丈夫です」
「だから違うっつってんだろが!つーかノックぐらいしろ!!」
弁解するも、時すでに遅し。
俺に向けられるテティの視線は、哀れみのそれへと変わっていた。
「ありがとうございましたー」
「いい買い物でしたね」
「………」
「元気出してくださいよ。ナルシストがなんですか、全然オッケーですよナルシスト」
……連呼するなよ。
因みに俺はナルシストじゃない、断じて。
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