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「しょうがないですね。そんなコータさんに、とっておきのスポットを紹介しちゃいます!」
別に紹介して欲しくない。
だがテティはそんな俺に構わず山の方へと駆けていく。
山道は急斜面で、かなり険しい様子が窺えた。
「ちょっと待てよ!これを登るのか?」
「そうですよ?」
さも当然のように言いのけるテティ。
正直、登山なんてタルい。
「こんなの余裕ですよ!ほら!」
なんて心中が表情に出ていたのか、また腕を引っ張られる形で連れていかれる。
しょうがなく登り始めると、いつしか山道が獣道へと変化していた。
こんな所を通って、迷わないのだろうか。
先頭が先頭なだけに、激しく不安だ。
「おいっ……」
「なんですかー?」
「いつ着くんだよ、そのスポットとやらに」
「もう疲れたんですか?だらしないなあ」
こっちは息が乱れそうになるのを懸命に抑えてるのに、本当に余裕そうなのがムカつく。
俺は目の前で揺れてる兎の尻尾を、恨みを込めて強めに摘まんでみた。
「きゃう─ッ!?」
「……………」
「……………」
どうしよう。
まさかこんな反応をされるとは思わず、無言になる。
「コータさんのえっちーっ!!」
「えぇ!?」
尻尾にそんな意味が!?
いや待て、俺は一番最初にがっつり触られたよな!?
とりあえず遥か前方に走っていったテティを追いかける。
あの兎どこにあれだけの体力があるんだ。
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