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「なんかすっかり暗くなっちゃいましたね」
あれから二人で話し込んでいたら、いつの間にか日が沈んでいた。
さすがに夜の山道で、女に先導させるのは気が引けたから、今は俺が前でテティが後ろだ。
「その前に、なんで俺の服を掴んでるんだ」
「え?だってコータさんが…」
はぐれないようにしろとは言ったが、掴めとは言ってない。
俺は妙にそれが気になりつつも、とにかく山道を進むことに専念する。
「キャーー!!」
「おわっ!?」
突然叫び声が聞こえたかと思ったら、背中に強い衝撃。
転びそうになるのを踏ん張り、後ろを振り返ると、テティが抱きついていた。
「い、今っ、腕に何かが…」
「………」
おそらく、横から突き出た枝が当たったんだろう。
だがこれは昼間の仕返しのチャンスだ。
よし、もっとビビらせてやる。
「あ、お前の後ろに髪の長い女の幽霊が!!」
「え?……コータさん、幽霊なんて信じてるんですか?」
……兎の丸焼きは、これで三回目か。
これは定期的にカウントする必要があるだろうな。
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