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とりあえずこの兎は無視するに限るな。
軽率にちょっかいを出すと、こっちがカウンターを食らう。
そう判断した俺は、兎を置いて歩き出した。
だが、不吉な臭いが敏感になった鼻を掠めたため、また歩みを止める。
「…どうしたんですか?」
「いや、なんか焦げ臭くないか?」
そう、不吉な臭いとは何かが焦げたような臭いだった。
「あ、本当ですね。誰かが料理に失敗したのかなあ」
俺は真っ先に山火事を想像したので、そういう発想もあるのかと妙に感心した。
「そうだといいな」
料理にしては強烈な気がするが、悲観的になってもしょうがない。
今はこいつの楽観的思考を信じるとしよう。
しかし、俺達2人の予想はどちらも外れていたと、存外すぐに知ることになる。
ピィィ─────ッ!
それも、悪い意味で、だ。
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