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どうやらその声は、どんどん近づいてきているようだった。
まさかここに向かってるんじゃないだろうな…。
「ウォン!」
「うおっ、マジで来た!」
近くの茂みから突然現れたそいつは、ベンチに座る俺の前に来て、一心不乱に吠えだした。
「ウォンウォン!!」
「だーっ!うるせえし、くせえ!俺は動物嫌いなんだよ、早くどっか行け!!」
怒鳴ってみるが、一向に立ち去る様子はない。
なんなんだよこの犬…
くそ。蹴っ飛ばして追っ払うか?
と、本気で考え始めた頃…
「あっ」
あろうことか犬が俺の靴を引っ張り、そして無理矢理引き剥がしたそれを持っていきやがった。
「な………ま、待ちやがれ!」
さすがの俺も、あまりの出来事に数秒だけ放心してしまっていたが、すぐに犬を追いかける。
裸足になった右足を庇いながら。
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