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かれこれ5分くらい追いかけて、もう諦めようと思った頃だった。 「はぁ、はぁ………教会?」 暗い森の中で、ぽつんと寂しげに建つ教会を見つけた。 こんなへんぴな所にある割りに、なかなか立派な建物だな…。 「…お?」 歩いて近づいてみると、その豪勢な扉が、ほんの少しだけ開いているのが判った。 「あ。もしかして、あの犬が入ったのか…?」 少々気味が悪いけど、入ってみるか。 人がいるなら帰り道も訊きたいところだし。 異質な空気を肌に感じながら、俺は教会の奥へと足を踏み入れてしまう。 思えば、これが間違いだった。 いや、犬を見つけた時点で、俺の運命はヤツの手の内だったのかもしれない。
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