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もしかしてそれは、あたしが保健室の窓から部活を見ていたことを言っているのだろうか。
長身なシルエットが、手を後頭部に持っていく。
仕草から、頭を掻いていることが予測できた。
「……っ」
真幸くんに抱き寄せられ、一瞬、呼吸が止まった。
心臓の音が聞こえる。
いつも余裕なのだと思っていたのに、案外脈が速い。
それよりも、あたしの方がもっと速いことは考えるまでもないけれど。
「誰を見てたんだか知らねーけどな、」
真幸くんの腕の中で、綿貫くんの声がくぐもって届く。
「あんなもん……、大抵の男は、自分のこと見てんだって、最低でも1回は勘違いすんだよ、アホ」
寝ているであろう人間に対して、アホ呼ばわり。
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