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手が前髪から滑るように後頭部に移動して、引き寄せられた。
感じる予感に、両手を前に出す。
「っあ……」
その手を大きな片手で封じられ、近づく顔は微笑を浮かべている。
「っ!……ん……」
唇が重なる。
「緋芽?起きたのか?」
漏らした声は、綿貫くんにまで聞こえてしまったらしい。
こんなところを見られたら……。
やめさせようと思っても、力が足りない。
「は……、ふぁ……っ」
酸素が足りない。
唇と唇が触れ合う音が、脳みそに直接繋がっているみたい。
「緋芽?」
綿貫くんには、聞こえないのだろうか。
「……寝言か」
こんな熱く、甘美な寝言なんて、知らない。
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