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「……残念」
真幸くんはペロッと舌を出して、あたしのセーラー服の裾を整えはじめた。
「こらー!」
「きゃあっ!?」
深沢先生が勢いよくカーテンを開けたから、あたしは思わず叫んでしまった。
真幸くんは、平常心。
「保健室をなんだと思ってんの!」
「何でバレました?」
「影が映ってたっつーの!」
第三者の登場に安心して、でも恥ずかしくて、ふたりのやり取りの隙に複雑な気持ちでスカートを直した。
綿貫くんのときは、ふたりで重なって寝ている形になっていたから、影ではバレてない……はず。
と、思いたい。
「冗談ですよ。本気でするわけないじゃないですか」
「していい冗談ってもんがあるだろがい!うらっ!」
「いっ!」
ゴン!と、石を殴ったような音の後に、真幸くんが涙目でうずくまった。
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