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先生が入ってきてからの真幸くんは、すっかり元通り。
「冗談」って言われて、落ち込んだくせに、……本当は安心してる。
さっきは、ちょっと怖かったから。
先生は、真幸くんの首根っこをつかんで、あたしから引き剥がす。
「出入り禁止になりたい?」
「まさか。だから、保健室出てからにする」
「……久我」
先生は盛大にため息をついて、腕組みをした。
「あんたと一緒に帰すの、不安で仕方ないんだけど」
と、真幸くんを睨んで言い、
「中倉さん、熱もあることだし、また先生の車に乗ってく?」
あたしに気の毒そうな微笑みを向けた。
「えーと……」
確かに、ふらふらするし、先生の心づかいはありがたい。
チラッと真幸くんを見て、手を伸ばして、制服の裾をつまんだ。
「あたし……、真幸くんと帰ります」
まだ、傍にいたいから。
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