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眼前に映るのは、白いあたしの手と、相容れない小麦色の肌。
手の平に感じるのは、意外と熱い体温と、親指に一段とやわらかな感触。
唇に、触れて……。
「は、はな……して……」
熱い。
こっち見ないで。
つかまれているところが、一番脈が速い。
離れるどころか、頬に触れさせられたまま、顔が近づいてきて、
「先輩、真っ赤」
吐息すら感じる。
「よかった。さっきの人には、赤くなかった。……俺だけですよね?」
ぴくっと指先が震える。
きっと彼は、自らの肌でそれを知っただろう。
「なんで下向くんですか?」
もう無理。
呼吸が苦しい。
小刻みに繰り返して、胸が何度も小さく揺れる。
「もっと……見せて?」
息が出来ない。
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