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「っ……!」
手のひらがずれて、親指の腹に、唇が……。
それに気付いた久我くんが、口角を上げた。
唇の形が変わるのを、ダイレクトに感じる。
もっと顔が近づいて、額同士がコツンと当たった。
キス……、され――
「……先輩のえっち」
冗談めいたことを呟いた後、やっと離れてくれた。
周りにまとっていた熱い空気が嘘みたいに冷たいものに変わって、久しぶりに思い切り吸い込んだ空気が喉を心地よく撫でた。
「あ、前髪くしゃくしゃ」
「やっ!?」
手が伸びてきて、前髪を手ぐしでとかれる。
こういうことばっかり、するから……。
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