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ゆたか「え…」
みなみ「それは…」
千尋の右目には、眼帯が巻かれており、眼球を露わにしていなかった。
慶介「右目…
ケガしているの?」
千尋「ああ…
ちなみに、この目だけでは何も見えない」
わだち「それが、あの連中に関係しているというわけか…」
千尋「…」
わだちの一言で、千尋はうつむき、眉間にしわを寄せて怖い表情を作った。
健司「気持ちはわからんでもないが、お前がやっているのは、単なる八つ当たりだぜ」
こなた「そうだよ。
憎しみは、新たな憎しみの種を生むっていうじゃん」
千尋「…わかっているさ…」
駿「ゲームなんかでムキになるな。
現実でそいつらをぶっ飛せてからやれ」
かがみ「ちょ、亘君、それは…」
千尋「…そうだよな…」
駿の言葉を聞いて、千尋は顔をあげた。
そこには千尋が持ついつも通りの笑顔があった。
千尋「駿だっけ?
そう言ってくれて嬉しかったよ。
俺、無闇にそいつらを攻撃したりしないよ」
健司「だからといって、外でケンカを仕掛けるのもダメだぞ」
千尋「わかってるよ。
もう、ゆたかちゃんのような女の子の泣き顔を見るのはイヤだからな」
ゆたか「あ、ありがとうございます!」
千尋はゆたかに向かってそう言うと、ゆたかは微笑んで頭を下げた。
こなた「ほう…
今さらクサいセリフを吐くねえ」
千尋「う、ウルサいな!」
一度は沈黙したが、その場にまた笑い声が町中にこだました。
そして…
つかさ「ふあ!?
何、これ!?」
健司「もう、時間か…」
みんなの目線が、徐々に白に染められていった。
それと同時に、回りのプレイヤーが次々と消えていくのが見えた。
千尋「それじゃあ…
みんな、ありがとう」
こなた「さよならは言わないよ」
みゆき「ええ…
またゆっくりとお話をさせてください」
みなみ「また会う日まで…」
わだち「またね」
千尋「ああ…
またね…」
そして、視界が全て白に染められた。
みんなの声が聞こえなくなると共に、意識も手放した…
しかし、それは冒険の終わりを告げる合図だった。
みんなは、それぞれのいるべき世界へと還るのであった…
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