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「やぁ、金の魔女。ご機嫌麗しゅう?」
コンコン、とドアを叩きながらも既にドアは開いていて開けてから叩いた客人に少女は眉間に皺を寄せながら答えた。
孤音3
金の魔女
「アンタが来るまでは上機嫌だったわね」
きっぱりと言う少女に客人である女性は笑いながら言う。
「あっはっはっ、相も変わらずツンケンした性格してるねぇ」
「アンタみたいに図々しくヒトの領域に土足する性格よりは百倍もマシ。用も無いならさっさと帰って欲しいのだけど。家は集会場じゃない」
パラパラと本に目を通す少女に女性は溜息を付きながら言うのだ。
「本当に相変わらず、なご様子で。いや、若干機嫌が悪いみたいだね」
「アンタの所為よ」
冷たく言い放った少女なのだが、女性ははっきりと首を横に振りながら断言した。
「梺の村に出掛けたんだろう」
その言葉に少女は本をめくっていた手を止めて顔を上げた。
少女の表情を見た女性は確信を持って言う。
「ドンピシャの様だね。態度と反して顔だけは昔っから素直だね」
「…………茶化しに来たなら帰れ、不愉快」
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