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ぱたん、と本をテーブルの上に置きながら言う少女の姿にこれ以上機嫌を損ねる訳にはいかないと女性は言った。
「用事は一応あるよ。まぁ、あんたの様子を見に来たって言うのもあるのだけどね」
「保護者面しなくて結構。で、用事って何?」
早く用件だけ述べて去れ、と言う少女の態度に女性は慣れきっているらしく一切態度を変えずに告げた。
「面白い先読みを視てね。このまましまっておくのも勿体ないと思ったのさ」
女性のその言葉に少女はピタ、っと一瞬だけ動きを止めてからゆっくりと椅子に腰掛け直しながら尋ねる。
「ふーーん、それで何を視たと言う訳?先読みの魔女」
「アンタに深く関わる事さ、金の魔女」
互いの呼び方に少女は不機嫌そうに眉を寄せていた。
この国には『魔女』と呼ばれる異端な存在が多々いた。
異端な理由はそれぞれ違ってはいたが共通する事がある。
みな、ヒトを避け独りで暮らす事を好み、同じ魔女と呼ばれる者としか交流を好まない事だ。
それは長い年月の間に魔女達が身に付けた護身の知識であるのだが。
そして魔女達にはそれぞれ己を指す通り名を持っている。
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