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梺の村に来ると相も変わらず平和ボケしている。
誰もが楽しそうに、笑顔でいる。
少女の姿を目視するまでは。
少女の存在に最初に気が付いた村人が途端に表情を変える。
その表情は強張っていて、同時に冷たく見下す目だった。
一人が気付けばまるでドミノ倒しの様に広がる。
少女が来た事を理解すると足早に家に戻る者、ヒソヒソと話し出す者、出ていけと言わんばかりの空気を出す者と今までの暖かく明るい村は何処にも存在しなかった。
しかし事の元凶である少女は一切態度も表情も変えずに歩く。
慣れきってしまった差別の空気など痛くも痒くもない。
そんなのを気にする時間があるのならば早急に用事を済まして帰ればいい。
すたすたと歩き目的の場所へと歩く。
その際に少女の視界に人だかりが見えた。
普段ならば気になる事などないのだが、何故か今日は無性に気になったのだ。
自分を避けて集まっているのでない事に気になった。
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