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その集まりの中心にいるのは一人の青年。
明るく微笑むその表情に優しい声。彼がどの様な人物なのかすぐに伺えた。
誰からも愛される、存在。
少女とは正反対の存在。
人から忌み嫌われる自分とは違い、人から愛される青年。
だが、それを羨ましいと思う感情など少女には存在せず、逆に疎ましい存在であるな、と頭の片隅で思いながらその集団を横切った。
その時だ。
少女の考えすぎでなければ、気の所為でなければ。
青年と一瞬だけ、刹那の瞬間だけ目が合った。
他の村人とは違ったその目を一瞬だけ気にして、でもすぐに忘れて少女は歩き去る。
これが総ての始まり。
……否、終わりの始まりとなる事を誰が気付いただろうか。
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