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「通りすがりの妖怪
8月21日 14:55
―――――――
確信はないんですけどね(^_^;) なんなら今日の夜みなさんで一緒に見に行ってみませんか?」
「は!?」
紙都の指が再び素早く動いた。だが、打ち終わる前に次の書き込みがディスプレイに表示されてしまった。
「サヤ
8月21日 14:56
―――――――
面白そう! 私、行きます!」
「マジかよっ!」
何でこんな得体の知れない誘いに乗るんだコイツは!
こうなってしまった以上、紙都の取るべき道は一つしかなかった。
「ヌカヅキ
8月21日 14:57
―――――――
僕も参加します。時間は?」
「通りすがりの妖怪
8月21日 14:58
―――――――
深夜0:00、森の入口でどうでしょう」
紙都はじっとその書き込みを眺めていた。
ややあって、パタンとノートパソコンを閉じると、諦めたようにそっと息を吐き、重い足取りで部屋を出ていった。
********
「フンフンフーン♪」
鼻歌交じりにマウスを動かす少女は、楽しそうにディスプレイを眺めていた。
緩くパーマをかけた茶髪のショートボブにクリっとした黒色の目が印象的な可愛らしい少女。
ディスプレイには今晩の思いがけないプランが映し出されていた。
「通りすがりの妖怪
8月21日 14:58
―――――――
深夜0:00、森の入口でどうでしょう」
もちろんOKだ。高校のオカルト部に所属する彼女は、これで先輩方が戻ってくると上機嫌だった。
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