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「何をしたの?」
「浄霊だよ」
浄霊。そして妖怪。少女の中には疑問が渦巻いていた。その中でも一番疑問に思っている事柄を少女は口にした。
「あんたは何なの?」
紙都は空を見つめると哀しげに微笑んだ。
「俺は半妖。鬼の妖怪と人の間に生まれた、どちらでもない存在」
小雨は半妖の少年の哀しみを代弁するかのように天から地へと降り注いだ。少年がその事実を知らされたのはまだ昨日のこと。その重荷を解き、その心を解く、あるいはそんな雨なのかもしれない。
「あんた何言ってんの?」
少女の言葉はあっさりと全てをぶち壊した。
「あんたが半妖だかなんだかどうでもいいのよ、私はあんたの名前とかそういうことを聞いてるの。ヌカヅキなんてハンドルネームじゃなくて、あるんでしょ? ちゃんとした本名が」
「あ、ああ――鬼神紙都」
思わず言ってしまった瞬間に後悔の大津波が襲ってきた。
「鬼神紙都ね。覚えておくわ」
「ああいや、覚えなくていい、というか実は本名は違うんだ、本当は――」
少女の手が少年の手をしっかり掴んだため、それ以上紙都は何も言えなかった。
「さあ帰るわよ! 明日には衝撃スクープが待っているんだから!!」
紙都は溜め息を吐いた。
けれど、問題はなかった。明日になれば今日の出来事は忘れ去られる。半妖であっても間違いなく、この一連の出来事は妖怪がやったことなのだから。
だから楽しもう。コイツの家に着くまでは。
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