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「綾ちゃん。痛いでしょう?
でも大丈夫。
深くは刺して無いからね。
傷をつけただけだよ。
痛い思いしたくないでしょう?
おじさんの横で大人しくお座りができるかな?」
そういいながらナイフを片手に
綾をソファに座らせた。
「綾ちゃん。今からおじさんの
いうこときくんだよ。
返事しなさい。」
「は…い。」
泣きながら震える声で返事をした。
怖いのと寒いのと
とにかく体の震えが止まらなかった。
「かわいそうに。寒かったね。
おじさんが暖めてあげる。
かわいそうに。かわいそうに。」
怖くて体全体が震える。
足がガクガク動いてちゃんと座れない。
男は綾の足を自分の手でさすりながら綾の顔を舐めまくった。
「や…めてください。」
蚊のなくような声で言うのがやっと
だった。
もう綾の足をさすりだしてから
30分はたっている。
気持ち悪いし、刺された右足が痛い。
「肌の色が白いから赤い血がきれいに見えるね。」
そういわれたら殺される
かもしれない。
そう思ったらもう男のなすがままだ。
右足の傷は案外深くて10年以上たってもくっきり残る事になることを、
傷跡を見るたび思い出す事を
今、綾はまだ知らなかった。
「大丈夫だよ。怖くないからね。
すこーし目をつぶっていたら終わるからね。」
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