あきら

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「綾!同じ学校の男の子から電話よ」 綾の母親の奈美恵が叫ぶ。 「はーい。」綾が二回の部屋からおりてきた。 「もしもし。」 「俺の事わかる?」 「わからないよ。誰?」 「俺だよ!!俺!!」 「わからないってば!!言わないなら切るよ?」 「あきら!!」 「あきらってあのあきら?どうしたの?久し振りだね♪元気してた?」 「あのさ、俺綾に話があって。付き合ってくれない?好きなんだ!!」 「は?」 「は?じゃなくて、付き合ってよ。今彼氏いるの?」 「いないけど…。これ何かのばつゲーム?あきらが私を好きなわけないじゃん。」 「意味わかんねー。マジだって!小学校の時からずっとすきだったんだ!バレンタインの時電話くれたじゃん。」 「それ、電話したのあたしじゃなくて、りかだけどね。 りかとあたしどー間違うんだか…。しかもあんた来なかったじゃん…。」 「えっ。綾じゃないの? 綾は俺の事すきだとずっと思ってた。勘違いかよ!かなり痛いな」 「あはははは♪好きだよ!! しょうがないから付き合ってあげる♪」 「本当に?じゃあこれからは あーちゃんって呼んでもいい?」 「いーよ♪あたしもあっくんって呼ぶね」 ケラケラと笑いながら高飛車な態度の綾。 でも本心は嬉しくて嬉しくて 仕方なかった。 だってずっとすきだった! まんまとバカップルの誕生だ。 母親に注意されるまでずっと電話は続いた。 嬉しくて全く眠れなかった。 初めての彼氏だ。 それからは、学校が終わるたびに あきらの家に行ったり、 あきらが綾の家に来たり。 あきらが綾の家に来ると 綾の母親が何かと理由をつけて 部屋に来る。 お茶だのお菓子だの、御飯だの。 やれ、寒くないかとか。 しまいには理由のネタがなくなった ようで 「部屋のドアは開けておいて頂戴!」の一声。 心配してるんだね…。 でもいちいち笑えた。 昔っからのばか騒ぎの延長で スゴく楽しかった。 あのときまでは…。
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