トワイライト

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「まあ、不思議ね……」 彼女も眺めながら感嘆したように呟く。彼女も気づいたようだ。見たことも無い光景に。 「おばあちゃん!これトワイライトだよ。お願いしたら、おじいちゃんに会えるよ!」 遠くから少女の大きな声が風に乗り耳に届く。 すると彼女の肩が小さく揺れた。 笑っているようだ。確かにそれは夢物語だ。 「まだまだ子供だな。そんな都合が良い話ある訳がないのにな……きよ子」 きよ子と同じように笑う。 すると、きよ子が驚いたように振り返った。 なんだ?……どうかしたのか? すると、ありえないことに見えないはずの私の目の前まで顔を強張らせて歩いて来る。 なんだ?なにかが変だ。 目の前まで来ると私に向かって手を伸ばした。 「えっ?」 まさかとは思ったが、きよ子の震えた手は私の頬に触れた。 「和真さん……来てくれていたのですね。待っていてくれたのですね」 あの時代に戻った気がした。
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