285人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「いやーっ、誰かぁ……っ!」
思わず泣きながらそう叫んだ時、玄関の呼び鈴が鳴った。
「えっ? え、や、どうしよ……」
こんな時間に誰が? 水道と格闘しながらどうすればいいのか私は一瞬わからなかったけれど、誰にせよ、この状況をなんとかしてもらえるかもしれない。
「あのっ! あの、水道が壊れて水がっ!」
ドアを開けるなり、そこに立っている人物が誰なのか見もせずに私は叫んだ。
そこにいた男は無言で横にずれ、玄関横のメーターボックスを開けた。そして中のバルブを回した。
「……あ、止まった……?」
水音が止んだ。私は気が抜けて、その場にへたり込んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!