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「ちょっ、朝霞さん。危ない!」
男の体重を支えきれず、私は彼と共に2、3歩移動したところで倒れてしまった。
「あ、布団だ。あったかいね」
ちょうど私が寝ていた布団の上に倒れ込んだ朝霞は、そのまま起き上がろうとはせずに布団の手触りを楽しんでいる。
「朝霞さんっ。あなたのベッドは向こうですよ。立って下さい」
「ダメ。璃鈴って呼ばなきゃダメだよ」
「……り、璃鈴さんっ!」
なんとか酔っ払いを宥めて起こそうと腕を引っ張ったが、璃鈴はもう起きる気がないらしい。逆に私の体に腕を回して引き寄せようとする。
「ちょっと、ちょっと。待って……」
「一緒に寝よう。マリーちゃん」
酒臭い息を吐きながら、璃鈴は私を抱き寄せ、両腕の中に私の体をすっぽりと納めてしまった。
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