―前編―

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「ちょっ、朝霞さん。危ない!」 男の体重を支えきれず、私は彼と共に2、3歩移動したところで倒れてしまった。 「あ、布団だ。あったかいね」 ちょうど私が寝ていた布団の上に倒れ込んだ朝霞は、そのまま起き上がろうとはせずに布団の手触りを楽しんでいる。 「朝霞さんっ。あなたのベッドは向こうですよ。立って下さい」 「ダメ。璃鈴って呼ばなきゃダメだよ」 「……り、璃鈴さんっ!」 なんとか酔っ払いを宥めて起こそうと腕を引っ張ったが、璃鈴はもう起きる気がないらしい。逆に私の体に腕を回して引き寄せようとする。 「ちょっと、ちょっと。待って……」 「一緒に寝よう。マリーちゃん」 酒臭い息を吐きながら、璃鈴は私を抱き寄せ、両腕の中に私の体をすっぽりと納めてしまった。
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