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「璃鈴さん、放してってば……」
「さん付けで呼んだら罰金だよ」
もがく私を、璃鈴はしっかり抱き締めて放さない。
「罰金て……。り、璃鈴さん……」
「あ、また言った。そんな他人行儀な口は塞いじゃおう」
「え……、ん? んんっ!」
酒臭いキスで私の唇が塞がれた。ぬめった舌が押し込まれ、口中でうごめく。
「んんんっ……」
(や、だっ……)
両腕で璃鈴の体を押し戻そうとするけれど、びくともしない。
それどころか璃鈴はますます強く私を抱いて、背骨のラインを指先で優しくなぞっている。
口の中では舌先が細かく動いて私の舌をくすぐり、絡み付く。
こんなふうに男に抱き締められ、キスされるのは大学の頃以来で久しぶりだった。私の体から力が抜けていく。
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