―前編―

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「璃鈴さん、放してってば……」 「さん付けで呼んだら罰金だよ」 もがく私を、璃鈴はしっかり抱き締めて放さない。 「罰金て……。り、璃鈴さん……」 「あ、また言った。そんな他人行儀な口は塞いじゃおう」 「え……、ん? んんっ!」 酒臭いキスで私の唇が塞がれた。ぬめった舌が押し込まれ、口中でうごめく。 「んんんっ……」 (や、だっ……) 両腕で璃鈴の体を押し戻そうとするけれど、びくともしない。 それどころか璃鈴はますます強く私を抱いて、背骨のラインを指先で優しくなぞっている。 口の中では舌先が細かく動いて私の舌をくすぐり、絡み付く。 こんなふうに男に抱き締められ、キスされるのは大学の頃以来で久しぶりだった。私の体から力が抜けていく。
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