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「ん……ふっ……」
いつの間にか、私は自分からも璃鈴の舌を吸い、その背に腕を回していた。
なまめかしく二人の脚が絡み合う。このまま、どこまでいってしまうのだろう。
そう思った時、唇が離れ、そのまま璃鈴は動かなくなってしまった。
「璃鈴さん……?」
耳元で寝息が聞こえた。
(え、寝ちゃったの?)
璃鈴の顔に掛かった髪をそっと払うと、穏やかに目を閉じた寝顔が現れた。私の体に腕を回したまま、すやすやと寝入っている。
私はしばらくその顔に見入っていた。外はもう明るくなっていて、カーテンの引かれた部屋の中も柔らかい薄明かりに満たされている。
その中で間近に見る璃鈴の顔は、とても綺麗で、私の胸の中に愛しさのような感情をもたらしていた。
規則正しい寝息を聞きながら、私はもうしばらくこの腕の中でまどろんでいようと思った。
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