286人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
朝霞の部屋は角部屋で、私の部屋より広い2DKだった。
男の部屋にしてはキレイに片付いて、殺風景なほどに物が少ない。だけど数少ない家具や調度はどれもセンスがよく高価そうなものだった。
二つの部屋のうち、奧の方にベッドがあったので、私は手前の部屋を借りることにして無事だった布団を運んできた。それから有り難くバスルームを使わせてもらい、床についた。
(なんだか、ホントに疲れた……)
他人の、それも今日会ったばかりの男の部屋だというのに、睡魔はあっという間に私を夢の中に引きずり込んでいった。
突然、何かわからない大きな音が私の眠りを破った。はっと跳び起きた私は、初め自分が何処にいるかわからずに周りを見回した。
(あ、お隣だっけ……)
そう思った時、再びドスンと何か重いものが落ちたような音がした。
(な、何……?)
枕元に置いておいた腕時計は午前6時過ぎを示している。
(朝霞さんが帰って来たのかしら?)
最初のコメントを投稿しよう!