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精悍な顔立ちではあるものの、まだ“イケメン”と呼ぶには早すぎる幼さの残る顔。将来的には背も伸びて“イケメン”部類に入る候補者だけど……さすがに高校3年の私が、小学6年生の男の子と付き合うっていうのは……後ろ指差されて、犯罪者扱いされかねない。
彼がどこで私と知り合い、何を見て「好き」だなんて言うのか分からないけど、高校前で小学生にコクられた私はいい注目の的だった。
皆ニヤニヤ面白がって他人事。茶化す声まで浴びせられる。まぁ、ネタとしては面白すぎるけど……我が身に振りかかるとちょっと面倒。
「ごめん。気持ちは嬉しいけど、私、年下には興味ないから」
初めての告白で初めて人をフッた。その時の言葉はいつか小説や漫画で読んだようなありきたりな台詞。とにかく、早くこの場から離れたかった。
津賀谷君を振り切るように、待たせていた友達のもとまで駆け寄る。「誰?」って聞かれても……こっちが知りたい。
「森久保さん!」
「……?」
「年の差が理由でフラれたのなら、俺、諦めませんから!」
「え」
「また来ます! 何度でも来ます! 今はまだ無理でも……俺の気持ちとちゃんと向き合って下さい!!」
深く考えずに答えを出したこと、彼には見破られていた。
振り返ってもう1度津賀谷君の姿を確認すれば、深々と頭を下げながら見送られていた。
その拍子にランドセルの中身が落ちれば面白いのに……なんて、ベタな笑いを期待してしまうような私のどこが好きなのか。
分かんない。
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