375人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「あーあ、いたいけな小学生泣かせたな」
「泣かせてないってば。なんとなく人前で泣くタイプじゃなかったもん」
「んじゃ、お前がからかわれたんだ」
「いや……そういうタイプでもないんだよね。なんか、こー……あと10才相手が大人だったら初対面でも頷いてたかもしんない」
「へー興味ないや」
「……」
翌朝、前の席の男子、市原泉が「小学生にコクられたんだって?」て話を振ってくるから、例の件を事細かに説明してあげたのにこの態度。男のヘアカタログ雑誌を広げながら、
「どれが似合う?」
唐突に話を変えてきたから言ってやる。
「えーとね……どうでもいいや」
私だって市原の髪型になんて興味ないもん。
不機嫌な顔に微笑み返し~。強引に市原の口角も人差し指で上げてみたけど目が死んでる~……女の子に対してなんつー目を向けてくるのさ、コイツはー。
「……精神年齢が低い大人のお姉さんに憧れるのかね~、今の小6は」
「さぁ? でも、私、下に弟が2人もいるから年下にはホント興味ないわ。あ、これ、いいじゃん」
「どれ?」
「アシンメトリー! 市原、カッター貸して! このページちょうだい!」
「……べつにいいけど……アシンメトリにするの?」
「してあげようかなと思って!」
最初のコメントを投稿しよう!