殿が城主になった日。

2/10
前へ
/18ページ
次へ
「父上ぇ…父上ぇ!」 葉月城、天守閣。 一人の娘が膝に顔を埋めて泣き叫んでいた。 彼女は綾女、つい先日父親が亡くなってしまったという事実を受け入れられず…天守閣に登って一人泣いていた。 「綾女様、こちらにおられましたか!」 そこへ走ってきたのは、[名宰相]直江兼続。 綾女が幼い頃より面倒を見てきた母親代わりの人である。 幼い頃に母親を亡くした綾女は、優しい兼続にとても懐いた。 兼続も又、懐いてくる綾女を妹のように可愛がっていた。 その綾女が唯一の肉親を亡くし泣き崩れているのだ。 駆けつけぬ訳にはいかない。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加