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「父上ぇ…父上ぇ!」
葉月城、天守閣。
一人の娘が膝に顔を埋めて泣き叫んでいた。
彼女は綾女、つい先日父親が亡くなってしまったという事実を受け入れられず…天守閣に登って一人泣いていた。
「綾女様、こちらにおられましたか!」
そこへ走ってきたのは、[名宰相]直江兼続。
綾女が幼い頃より面倒を見てきた母親代わりの人である。
幼い頃に母親を亡くした綾女は、優しい兼続にとても懐いた。
兼続も又、懐いてくる綾女を妹のように可愛がっていた。
その綾女が唯一の肉親を亡くし泣き崩れているのだ。
駆けつけぬ訳にはいかない。
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