1ﾒｰﾄﾙのｴｷｽﾊﾟｰﾄ

秋沼商会

新しい煙草に火を点けた途端、秋沼社長に奪われた。

「駄目じゃない、子供がこんなもの吸っちゃ。」

そして僕の煙草を消しておいて、自分は煙草を吸い出した。

細いチョコレート色の煙草、ＪＯＫＥＲという銘柄で社長の肥大した指には似合わない。

その対応が苛々するから、吸いたくなるんですがね。

煙草吸えないし、目の前にあるのはジュースだし、足が遠のくのは致し方ない。

薄ら笑いを浮かべて僕を見ている。

僕としては世間話を早々に切り上げて仕事の話に移りたい。

「失礼します、社長宜しいですか？」

専務が入って来た。
僕をじろりと睨む。