1066人が本棚に入れています
本棚に追加
/370ページ
布の先で弓恵さんが揺れる。
振り子の様に左右に大きく。
「くっ。」
僕はここにしがみついたまま眺める事しか出来ない。
揺れる弓恵さんの胸元から何かが出ていた。
揺れる度に外に押し出されていく。
小さな塊。
ついに地上目掛けて落ちる。
ビービービービーッ。
ビービービービーッ。
電子音が巨大に響いた。
あれは僕があげた防犯グッズ。
強い衝撃が加わると大音量で鳴る、改造した警報装置。
弓恵さん。
出張中でも持ってくれてたんだ。
ただ貴女を守りたい。
その想いを込めて改造した。
変わらない。
今この瞬間も僕は貴女を守る為だけに。
最初のコメントを投稿しよう!