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まずは壁の足場に戻るのが最善かな?
足を胸板に出来るだけ引き寄せ、滑りかけながらも膝を壁の出っ張りに乗せる。
「いつっ。」
じりじりと皮膚が焼ける感覚。
痛みに負ければ落ちるだけ。
歯が折れそうなほど食いしばり、何とか足場に身体を乗せた。
「宝田さん!」
弓恵さんの呼び声で我に返る。
あぁ。
袖の火を消さないと。
水に濡らしていた布地に巻き付けると鎮火した。
しかし、狭い足場では満足に腰を落ち着けられない。
バランスが悪く下側に引っ張られて何度も落ちそうになる。
四苦八苦して襷掛けにした布地を解き、足首に結び直す。
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