宣言

4/14
前へ
/370ページ
次へ
「私だけ無事でどうすればいいんです!?」 私だけ? 「宝田さんを犠牲にしたと言われて生きていられないですよ!」 生きていられない? 「起きて宝田さん!」 声が近くなる。 僕を呼ぶ声。 「最善の道をいつだって示してくれたじゃないですか!!」 混濁の世界から引き戻される。 「信じさせてください……。」 痛みの中。 1つだけ伝わった感覚。 握られた手。 泣きながら呼び続けているのは弓恵さん。 そう。 このまま死ねば最後まで不完全な男だ。 僕が相手の負担になるのなら。 助けた事にならない。
/370ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1066人が本棚に入れています
本棚に追加