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弓恵さんを安全な場所へ導けた。
「宝田さん、もしも、もしも救急車が来ないままなら。」
うん。
僕は助からないだろう。
「どうすればいいの?何故そこまで自分を犠牲に出来るの?」
それは違う。
そんな綺麗な感情じゃない。
「これは、僕の、我が儘だから。」
口から空気が漏れるみたいに、途切れ途切れになりながら伝える。
苦しい。
話しづらい。
「我が儘?どうして。」
我が儘だよ。
こんなにも。
現実を無視して伝えたい気持ちだけで溢れている。
「僕はこんな、身体だから、伝え、なかった。」
聞き漏らさないように弓恵さんが耳を傾けた。
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