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「無力だと、思いたくない、僕のエゴ。」
好きな人を守れる腕が欲しかった。
僕だけ助かったり弓恵さんが大怪我したりすれば、生き延びたところで自分が駄目になりそうで。
「男は、ヒーローに、なりたいものだから。」
好きな女性の前では格好悪い男になりたくない。
「そんな。」
弓恵さんがしっかりと手を握り直す。
「宝田さんは職場でヒーローでしたよ、必ず何とかしてくれるって皆思ってました。」
この見た目で認められるには結果が必要だから、いつもがむしゃらだっただけ。
耳障り良い慰めの言葉。
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