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管に繋がれぼんやりとした意識の中、両親の姿を見る。
夢の中。
現実。
若かった両親はすっかり老いた。
三十路にもなってまだ泣かせている。
成長しない息子である、僕の姿を見るのが辛いだろうと一人暮しをしていたけれど。
何処に居ても親は変わらないようだ。
「どうして啓司だけがいつも辛い目に遭うの。」
若い日の姿で。
老いた今の姿で。
夢と現実が交差しても両親の言葉は同じ。
「帰ってくれ、こちらは被害者だ。」
何かを追い払っている。
途中から芳田の声が混ざる事が増えた。
温かい空気が僕を囲んでいる。
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