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押し入れに入って外を見ている感覚。
こちらからは見えるけれど話し掛けたりは出来ない。
話しの輪の中には入れない。
看護婦が僕を撫でながら涙ぐんだりする。
僕は見えている。
目は開いている。
それなのに扱いは人形の様だ。
痛み止めの麻酔が限界ぎりぎりの量で、自分の意思だと身じろぎぐらいしか動かせないから。
包帯とチューブ、がんじがらめの肉体。
看護士が点滴を入れ替える作業を何度となく眺めた。
どのくらい時間が経ったのだろう。
夜中の消灯時間以外だと病院内は明るく、点滴が食事代わり。
毎日現れる芳田の存在が日付が経過していると気付かせてくれた。
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